2008年02月29日

Unfaithful



「はい、これ。」
風邪をひき、しんどいというので会社を休んだはずの彼は、
なぜか早々にベッドからぬけだし、パソコンでゲームをしていた。

なんて軟弱な男だろう、とは声には出さず、
彼女は予てから一応用意していた、
バレンタインのプレゼントを差し出した。

「え?なに?」
彼はきょとんとして、差し出したものを手に取ろうともしない。

「ハッピーバレンタイン。でしょ?」

「ありがとう。でも、なんで?」
彼は戸惑ったような照れ笑いをしながら、箱を開ける。

「何よ。うれしくないの?」

彼女は仁王立ちで彼を見下しながら言う。
すっかりでかける仕度をして、
めずらしくフレアスカートなんてはいている。

「だって、全然興味なさそうだったから。」

「私はたしかに興味ないけど、
あんたはとてもあるということがよく判ったからよ。」

中身をみて、彼が尋ねる。

「これ、なに?」

「羊羹。あんこでできてるのよ。」

「あんこ。。。。ねぇ、僕あんこきらいなの知ってるよね。」

「えぇ、でも、あなたさっき私が和風と洋風どっちがいい?って
きいたとき、和風がいいっていったじゃないの。」

彼女はコートを羽織ってしまうと、首にヘンプのスカーフをまいた。

「洋風っていってたら?」

「チョコレートよ。でも、他の人にあげることにするわ。」

彼女はぺたりと彼の横に座ると、肩にすりより、
挑発的な目線を投げる。
真っ黒でタイトなベルベットのコートに包まれ、まるで黒猫のようだ。
メイクも今季流行の猫目で、
アイラインは目尻にぐっと長く跳ね上がっている。

最近の彼女は化粧もきちんとするし、
ネイルも少しでも剥げれば、塗りなおしている。
いつでも甘い、清楚な匂いがする。
すっかり、なんだか、都会っぽくなった彼女に、
彼は少し寂しい気がしていた。

「今日もきれいな猫ちゃんだね。パンツはどうかな?」

ぺろりとスカートをめくる彼に「ニャア!」と唸る。
彼は下着を確認すると、それだけに満足せず、
彼女の柔らかい尻を鷲掴みにし、ペン!と叩く。

「痛い!ど変態。」

彼女は吐き捨てるようにいいながら、にやりと笑ってみせる。
スカートを戻しながら立ち上がると、
バッグにラップトップを押し込み、チョコレートの箱を確認する。
オレンジ色の箱。あの人に今夜あげるチョコレート。

ipodを掴んで、イヤホンをつける。

「今日は夕方からパーティがあるから、遅くなるわ。」

「バレンタインにパーティ?なんの?」

「仕事のよ。ずっと招待されてたの、断ってたからさすがにね。
顔くらいだしとかないと、そろそろ愛想尽かされちゃいそうだし。」

彼は玄関まで見送りに出てきていた。

「そうか。楽しんでね。」

「夕食は冷蔵庫におかずがあるから、好きに食べていいわよ。
ごはんもあるからね。」

「うん。わかった。ありがとう。」

「あんまり遊んでないで、治すときに治しなさいよ。」

「うん。いってらっしゃい。」

キスをして、ちゃんとハグもして、ドアをしめる。
逆光の中で、彼の穏やかな笑顔が残像のように
彼女の目に焼きついた。



Rihanna
オフィシャルサイト


Unfaithful

by youtube.com


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。