2008年02月07日

Hate that I love you



シンポジウムには丁度開会の挨拶の時に、到着。
席をとってくれていた同僚の隣に腰を下ろす。

「ありがとう。」
同僚の耳元にこそこそと言い、続けて
「部長は?」と聞く。

彼は、後ろと耳打ちする。
私は右後ろに振り返る。そこには、上司ではなく、
あの人がいて、にこやかに頭を下げた。
その隣には打ち合わせで3回ほどあったことのある、
よくしゃべるおばさんがいて、彼女も同じく会釈をした。
私も二人に会釈をし、今度は左後ろを振り返り、上司に会釈をした。

一瞬、焦った。
まさか真後ろにあの人がいるなんて、
予測してなかった。

あの人は、私と同僚の耳打ちを見て、どう感じただろうか。
うっかり家事の時にはずしたままにしてしまった、
ダイヤのない薬指をみてどう思うだろうか。
変なふうに解釈をされないといいのだけれど。

シンポジウム自体は2時間そこそこで終わり、
報告者に挨拶に回った上司を
同僚と、あの人と私、3人で待った。

待つ間、雪の話をした。他愛もない話。
私はあの人の顔を見なかった。そばにもよらなかった。
同僚にくっつくようにして、雪の話をした。
あの人は私を見ている。私がちらっと確認すれば、必ず目が合う。
そんなに明確な視線を注がないでほしい。
私は狼狽して、目を逸らす。

上司は用事が済んで、ありがとうといいながら、
私の手から、コートを受け取る。
私は、とびきりの笑顔を上司にむける。

あの人は嫉妬しているだろうか。するかもしれない。
あの人には向けたことのない表情をみて、驚くかもしれない。





このシンポジウムは非常に楽しみにしていた。
というのは、彼女とも会えるからだ。
最近では週に2度は顔を見ないと、つらい。

開会前に話ができると思って早めにつくようにしたが、
彼女は開会してから到着したので、非常に残念だった。
僕の斜め前の席に座った彼女は走ってきて熱いのか、
頬をピンクにさせて、シャツの胸元をぱたぱたと扇いだ。
彼女の甘い匂いが漂ってくる。

彼女は隣に座る同僚とぼそぼそと話をし、突然くるりと振り返った。
僕は若干慌てながら、会釈をした。
彼女は眼鏡をかけていた。
眼鏡でも、かわいいと思った。

僕はいい具合に目の前にいる彼女を、誰に遠慮することもなく
見つめていられることで、非常に満足した。
そんなにしげしげと見つめているものだから、
彼女の左手に今日も指輪がないのに気がついた。
どういう意図なのだろう。
今まで、食事以外で会うときは必ずつけたままだったのに。

閉会後は、彼女と、彼女の同僚と話をする機会を得た。
彼女の上司つまり、僕にとっては、下請先の部長の用事が済むのを
3人で待つことになったのだ。
といっても、僕は待つ必要は特になく
早々にオフィスに帰ってもよかったというか、
仕事が詰まってるので一秒でも早く帰るべきなのだが、
彼女といられる機会は大事にしたかった。

報告中にあった化学の話を彼女が同僚に補足して説明をしているのを、
僕は聞いていた。
理系は苦手だといっていたわりに、
しっかりあの難しい報告を理解している。
大学院を出ているだけはあるなと、感心した。

彼女はようやく用事の済んだ上司にコートを差し出し、
あどけない真っ白な笑顔をむける。
僕にはそんなふうには微笑んでくれたことはない。
上司のことをよほど信頼しているのだろう。

僕は少し鳩尾のあたりが少しぎちぎちしてくるのを感じた。
こんなふうにやきもちをやくのは何年ぶりのことだろう。

気を抜くと、彼女のことばかり見つめてしまっている。
誰にも気づかれていないといいが。



Rihanna

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